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京の一押し 花街

花街
花街(かがい)は、お茶屋や置屋が集まった地域のこと。京都には「祇園甲部」「宮川町」「先斗町」「上七軒」「祇園東」の五ヶ所の花街があり、総称して「京都五花街」と呼ばれています。それぞれに長い歴史や脈々と受け継がれてきた伝統が残されており、昔ながらの建物が軒を連ねる趣深い町並みは、今も人々を魅了します。 そんな花街を象徴する存在が、艶やかな着物や装飾品に身を包んだ芸妓・舞妓です。可愛らしい化粧や髪飾りが印象的な舞妓は、芸妓を目指して修行する、15~20歳までの少女のこと。一人前になると芸妓さんになり、踊りや三味線などの芸事に精進します。舞妓や芸妓は、置屋に所属し、そこで様々な芸事やしきたりを身につけ、お座敷での宴席が開かれるお茶屋へ送り出されます。お茶屋は基本的に紹介がないと入れない「一見さんお断り」のスタイルをとっていますが、最近はお茶屋を改装したレストランなどのお店も増えています。
花街文化研究会代表 大田達さんにきく

―京都の花街はどのようにして生まれたのですか?
京都に数多く存在する寺社が、花街の成り立ちに大きく関係しています。古代・中世において、神社仏閣への参拝が民衆のささやかなアミューズメントでした。京都には八坂神社や北野天満宮などの全国的に名高い寺社が多く、たくさんの人が集まるスポットだったんです。その門前に、参拝客に茶菓をもてなす「水茶屋」が生まれ、これがお茶屋となりました。お茶屋では次第にお酒や料理を出したり、給仕の女性が三味線や舞などで客をひきつけるようになります。そのようにして、お茶屋や舞妓・芸妓が集まる場・花街が出来上がりました。

―花街が担う役割とは?
私は大学で「宴会学」という講義を持っていますが、宴会はコミュニティの維持に必要な装置だといえます。花街はそれを行う場所。長い歴史の中で培われてきた、人と人とのコミュニケーションの上に成り立つ、日本の伝統的な文化を残しているのです。また着物、菓子、酒、料理、建物など、衣食住のすべてにわたって日本の美や知恵が凝縮されており、その存在自体が文化財とも言えます。同時に、新しい文化創造の舞台であり続けている「日本文化の学校」としての役割を果たしているのです。

―花街は敷居が高い、というイメージもありますが?
私も学生を連れて行くことがありますが、どなたでも楽しめるよう工夫して下さる芸舞妓さんがいらっしゃるので、心強く思います。

―花街と菓子の関係とは?
花街のルーツである、社寺の門前で参拝客へお茶を出すお茶屋では、菓子も一緒に振舞われました。今も寺社の門前には多くの老舗和菓子店が残っています。有名なのは、今宮神社の東門前に並ぶ二軒のあぶり餅店などがありますね。北野天満宮東門前の上七軒も、室町時代には「あふりもち」(団子)を商う茶店からはじまりました。それぞれの花街の紋章を観察してみてください。京都最古の花街と言われる上七軒は「つなぎ団子」といわれる紋章を使っているなど、花街と菓子のつながりの深さがうかがえるはずです。

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